ビープラッツの篠崎です。
日経の電子版は今月3日の発表で会員数100万人に対して、有料会員は14万人強になったそうです。(日本経済新聞社のプレスリリース)
このリリースには、「紙面とオンラインの併用という新しい新聞の読み方が定着してきている」
と日経はリリースにコメントを入れていますが、本当にそうでしょうか。
◆解約率が高いこと
→こんなに解約率が続けば、新規増の勢いを解約数がすぐ追い越す。つまり電子会員の増加は見込めない状況が早晩来る。頭打ち。
というのが実情。
ある意味、この270万が、「日経を紙かオンラインかに関わらず有料で読んでもらえる母数」であり、紙面か電子版かは無関係。この270万の母数をどういう売上構成にするのかが日経が抱えている本質的な問題で、このうちわずか14万人が日経が設定した「電子版プレミアム」に同意して有料会員になったわけですが、この「電子版プレミアム」は、早晩機能しなくなるだろうと思っています。
紙面と電子版の価格をそれぞれ確認してみると;
◆紙面は朝・夕セットで4,383円
◆電子版はこれに対して4,000円(その差383円)
◆紙面購読者のセット売りは+1,000円で5,383円。
今のところ、電子版には紙面とは別に値付けがなされていて、この価格設定は、有る程度電子版を別売りにしてプレミアム化させることにより、プレミアム売上を取れる期間だけ取ろうという日経の思惑が働いていると思います。
ではありますが、コスト構造は価格設定にはあまり影響を与えていないと思われます。
・電子版を下げると紙面売上が落ちる。既存の紙面の価格(売上)は動かせない。
・市場背景に、新聞離れ(特に若者)と各種メディアの台頭がある。
・徐々に紙媒体の新聞売上は減少傾向にある。
・この減少傾向の速度を鈍化させなければならない。
↓
電子版は別で値付け販売。
というのが背景。
では、今後、日経の紙面及び電子版の価格はどうなるか?
と、
これらの新聞事業が電子配信されるモデルとして、どう変わっていくべきか?
ですが、
◆電子版の売上もすぐ頭打ちになる
◆紙面売上も若者の新聞離れなどから低減する
ために、紙面と電子版の価格差は無くなっていくだろうと思います。
読者から見たら、読む手段が変わっているだけで、本質は何も変わっていません。
さらに、この「紙面も電子版も同価格になる」な状況の先には、
・紙面売上は将来間違いなく下がり採算はさらに悪化する
・電子版が持つ優位な特性から、電子版を優先しなければならないタイミングが来る
はずです。
そもそも電子版が持つ本来の優位性とは;
◆価格戦略がそもそも多様性を持つ
切り売り(時間も中身も)、セット売りなども可能になる。
とか、
◆読者に向けたターゲット広告配信などによる広告収益モデルも多様化できる
今の一律同一内容の広告配信ではなく、コンテンツや読者属性に合わせた配信も可能になるとか、
電子版を開く時間にタイムリーなニュース配信を行えることや、
これらの電子版のテクノロジー優位性を活かして収益の多様化に取り組むことが求められるだろう、と思っています。
というか、そう願っています。